日本銀行が21日に発表した2024年10〜12月期の資金循環統計(速報)によると、24年12月末時点の家計の金融資産残高は1年前に比べて4.0%増の2230兆円と過去最高を記録しました。
株高や円安が資産残高を押し上げた形です。
2024年度経済財政白書によれば、家計の金融資産残高のうち7割以上を55歳以上の層が保有しており、70歳以上の高齢者層が保有する割合は全体の4割近くに達します。
高齢者層に金融資産が偏在する背景には、長生きリスクへの懸念や高齢者間の資産移転(相続)があり、この傾向は今後も続く可能性があります。
国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、75歳以上人口は、2054年まで増加傾向が続くものと見込まれています。
同白書によれば、金融資産は定年期を迎える60-64歳代まで年齢と共に増加し、ピークを迎えた後も大きくは減少していません。
これは、高齢者が年金や就労などの収入の範囲内でほとんどの生活費を賄っており、老後の生活のために蓄積した資産を切り崩す程度が非常に限定的であることを示しています。
金融広報中央委員会の2023年調査によると、金融資産を保有している60歳以上の高齢者が、金融資産を保有する目的として「老後の生活資金」を挙げる割合は77%と最も大きくなっています。
一方で、遺産に関する考え方を見ると、高齢者の3分の1が「財産を使い切りたい」と考えています。
上記白書では、これらを踏まえ、高齢期に金融資産を取り崩さないという行動は、長寿化によって長生きリスクが強く意識されることによる部分が大きいと報告しています。
こうした長生きリスクに対応するためには、社会保障制度の抜本的な見直しを先送りすることなく、公的年金制度の持続可能性を確保することが重要です。
将来への不安が軽減されれば、高齢者が老後の生活資金を心配して資産を取り崩さないという行動も変化する可能性があります。
人生において大切なのは富の最大化ではなく、経験の最大化だとする考え方もあります。
誰も自分の寿命を予想できませんが、老後のための十分な備えをした上で、人生の最期に資産をゼロにするほど思い切り良い経験をすることで、より豊かな人生を送ろうという考え方です。
また、近年、相続人のいない高齢者が増加傾向にあり、2023年度に国庫に入った相続人が不在の財産は、2022年度と比較し32%増の1015億円と過去最高額を記録しました。
背景には、配偶者や子供のいない単身高齢者の増加があり、高齢者層が資産を使い切れずに亡くなるケースが増えていることが考えられ、今後も増え続ける可能性が高いと言われています。
近年、急速な高齢化社会の進展により、人生100年時代が現実のものとなりつつあります。
人生の前半に築いた資産を人生の後半にどのように有効活用するかが、重要な課題となっています。