
2024年度税制改正では、物価高に負けない構造的・持続的な賃上げの動きを広げるため、賃上げ促進税制の強化が図られました。
具体的には、新たに「中堅企業枠」を創設するとともに、これまで本制度を活用できなかった赤字の中小企業にも賃上げを後押しする観点から、5年間の繰越控除制度が創設されました。
また、税額控除割合の上乗せ措置について、一部要件の緩和や新たな要件の創設といった措置が講じられました。
なお、本制度の適用期間は、法人は2024年4月1日から2027年3月31日までの間に開始する各事業年度、個人事業主は2025年から2027年までの各年です。
主な改正点を2つご紹介します。
「中堅企業枠」の創設
中堅企業は、大企業を超える国内売上・設備投資や給与総額等の伸びがあり、国内経済に大きく貢献していると言われています。
他方で、中小企業政策の対象外として大企業と同列に位置付けられ、中堅企業の課題に応じた措置が講じられてこなかったという指摘がありました。
そこで、常用従業員数2,000人以下の法人・個人(中小企業者を除く)の約9,000者を「中堅企業者」と産業競争力強化法において定義し、各種の措置が講じられることになりました。
その一つとして、地域において賃上げと経済の好循環の担い手として期待される中堅企業の賃上げの後押しに向けて、賃上げ促進税制に中堅企業枠が創設されました。
青色申告書を提出する従業員数2,000人以下の法人又は個人事業主が対象です。ただし、その法人及びその法人との間にその法人による支配関係(発行済株式等の50%超保有)がある他の法人の従業員数の合計数が1万人を超えるものを除きます。

中小企業の繰越税額控除制度の創設
要件を満たす賃上げを実施した年度に控除しきれなかった金額(未控除額)について、その未控除額につき 5年間繰り越して税額控除ができるというものです。
この措置を適用する場合は、
①未控除額が発生した事業年度以後の各事業年度の確定申告書に繰越税額控除限度超過額の明細書
および
②繰越税額控除措置の適用を受けようとする事業年度の確定申告書等に繰越控除を受ける金額を記載するとともに、その金額の計算に関する明細書
を添付して、提出する必要があります。
法人の場合、繰越税額控除限度超過額の明細書と繰越控除を受ける金額の計算に関する明細書の書類が異なります。(個人の場合は様式がまだ未公開)
①の明細書が提出されていない場合、未控除額は繰り越されず、繰越税額控除を適用できませんので、ご注意ください。
未控除額を翌年度以降に繰り越す場合には、未控除が発生した事業年度以後の各事業年度の確定申告書に繰越税額控除限度額の明細書の添付が必ず必要です。
また、繰越税額控除を受けようとする事業年度において、雇用者給与等支給額が比較雇用者給与等支給額より増加している場合に限り、適用可能です。
