2025年度も国民健康保険料の上限が引き上げられるとの報道がありました。
昨年の同時期にも同様の報道があり、国民健康保険に加入している人にとっては気になるところです。
国民健康保険料は、医療費の財源となる「医療分」、高齢者の医療費を支える後期高齢者医療制度の「支援分」、そして40~64歳の加入者が負担する介護保険料にあたる「介護分」の3つの要素で構成されています。
保険料は、収入に応じて変動し、市区町村によって異なりますが、上限額は国が設定しています。
来年度の見直しでは、所得が高い人の年間保険料の上限額が、現在の89万円から3万円引き上げられ、92万円となる見込みで、内訳は「医療分」1万円、「支援分」2万円です。
この引き上げは、高齢化に伴う医療費の増加に対応するため、応能負担の観点から行われるものです。
高齢者になると医療費がかかりやすくなるため、医療費の負担が若い世代に集中するのを防ぐために、高所得者の負担を増やすことで、保険財政の安定化を図る目的があります。
上限の対象は、単身世帯で年収が約1170万円以上の人が該当し、対象者は全体の1.5%程度と見られています。
一方、40歳から64歳の方が支払う介護保険料は年間17万円のまま据え置かれるため、保険料全体の年間上限額は109万円となります。
日本の医療保険制度は、大きく3つに分けられます。会社員などが加入する健康保険、個人事業主などが加入する国民健康保険、そして75歳以上が加入する後期高齢者医療制度です。
健康保険は、会社と折半で保険料を支払いますが、国民健康保険は全額自己負担となります。
国民健康保険の対象者は、個人事業主や学生、年金受給者などです。また75歳になると勤めているかどうかにかかわらず、それまで加入していた医療保険(国民健康保険・健康保険・共済など)から自動的に後期高齢者医療制度へ加入することになります。
国民健康保険料の計算には、医療分、支援分、介護分それぞれに、所得割、均等割、平等割の3方式が用いられ、これらの金額を合算したものが1年間の保険料となります。
例えば、所得割は、収入に応じて保険料が変動する方式です。収入が高いほど、支払う保険料も多くなります。
一方、均等割は、所得に関係なく、すべての加入者が平等に負担する保険料です。平等割は、国民健康保険に加入する全世帯が平等に負担する保険料です。
保険料の計算はやや複雑ですが、自治体のホームページに掲載されている早見表やシミュレーション機能を参考にすると、おおよその保険料が把握できます。
高齢化の進行で医療費が膨張していることから、応能負担が進められており、最近はほぼ毎年上限額が改定され、引き上げは4年連続になります。
国民健康保険については、高齢化の進展で悪化している保険財政を改善するため、厚生労働省省は今後も、保険料の見直しを行っていくと見込まれます。
国民健康保険料は各自治体が計算するため、個人で計算する必要はありませんが、計算方法を知っていれば、おおよその保険料がわかり、家計のシミュレーションも容易となるでしょう。