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医療デジタル化への一歩

マイナンバーカードの安全性についての説明図
出所:厚生労働省HP〜マイナンバーカードの健康保険証利用の安全な制度運用に向けて〜

 「マイナ保険証」は、マイナンバーカードに健康保険証の機能を持たせたもので、政府が推進する医療デジタル化の一環として導入されました。

 

 2024年12月2日以降、現行の健康保険証は原則として廃止される予定です。

 

現行保険証の取扱い

 2024年12月2日時点で有効な健康保険証は、その後最長1年間使用可能です。

 マイナンバーカードを取得していない場合は、被保険者資格などが記載された「資格確認書」が無償で交付される予定です。

 

 資格確認書を医療機関等で提示することで、従来通りの窓口負担で医療を受けられます。

 

 当初、資格確認書の有効期間は最長1年とされていましたが、最長5年まで延長されることになりました。

 ただし、加入している健康保険組合などによって変わります。

 

 また、発行手続きは本人からの申請を前提としていましたが、マイナ保険証を持たない全員に職権で交付されることになりました。

 

導入目的

 マイナ保険証は、日本の医療制度における大きな転換点となる取り組みです。

 従来の保険証と比べ、より便利で効率的な医療サービスを受けることができる点が特徴です。

 

 具体的には、医療機関における事務作業の軽減、患者本人が自身の医療情報を把握しやすくなること、そして医療データの活用による医療政策への貢献などが期待されています。

 

メリット

 マイナ保険証を使って医療機関等に受診した際に、自身の薬の履歴や過去の特定健診の情報等の提供に同意すると、お薬手帳を見せなくても過去に処方された薬や特定健診などの情報を初診でも医師・薬剤師にスムーズに共有できます。

 

 これにより、適切な診断や重複投薬の回避が可能となり、医療の質が向上します。

 

 また、マイナ保険証を使うと、初診時に20円、再診時に10円、調剤時に20円の医療費が軽減されます(自己負担はこれらのうち窓口負担分のみ)。

 

 さらに、高額な医療費が発生する場合でも、マイナ保険証を使うことで、患者が一時的に自己負担したり、役所で限度額適用認定証の書類申請手続きをする必要がなくなります。

 個人的には、この点が最もメリットがあると思います。

 

 マイナンバーカードで資格確認をおこなうため、紙の認定証の持参なし・手続きなしで高額療養費の限度額を超える支払いが免除になります。

 

 また、マイナポータルから保険医療を受けた記録が参照できるため、領収証を保管・提出する必要がなく、簡単に医療費控除申請の手続きができます。

 

利用方法

 マイナンバーカードを取得した後、マイナ保険証として利用するためには事前の登録が必要です。

 

 登録方法は、①顔認証付きカードリーダー、②マイナポータル、③セブン銀行ATMのいずれかで行います。

 

 この手続き後、医療機関や薬局でマイナンバーカードを読み取り機にかざし、顔認証または暗証番号の入力によって本人確認を行います。

 

 これにより、従来の健康保険証と同様に医療サービスを受けることができます。

 

安全性

 マイナンバーカードのICチップには、税や年金などのプライバシー性の高い個人情報は記録されません。

 

 不正に情報を読み出そうとすると、ICチップが壊れる仕組みです。紛失・盗難の場合は、マイナンバー総合フリーダイヤル:0120-95-0178(音声ガイダンス2番をお選びください。)へ、24時間365日体制で一時利用停止可能です。

 

 また、マイナンバーを利用するには、顔写真付き身分証明書などでの本人確認があるため、悪用は困難とされています。

 

今後の課題

 マイナ保険証の利用率は2024年7月時点で約11%と低調ですが、医療情報の一元管理や手続きの簡素化といった多くのメリットがあります。

 

 セキュリティへの懸念や普及の遅れといった課題もありますが、2025年春からはスマートフォンへの搭載も予定されており、今後の改善と普及が期待されています。