国税庁は2023年度の租税滞納状況の概要を発表しました。
2023年度の新規発生滞納額は7,997億円で、1992年度のピーク時の約4割にとどまっており、滞納発生割合も1.0%と低水準に推移しています。
大多数の納税者は期限内納付を行っており、税務当局も納税者が期限内に納付できるよう、滞納の未然防止に努めています。
また、滞納となった国税についても早期の徴収が進められており、ほとんどが短期間で徴収されています。
一方で、法人の代表者が不正申告を行い、財産を散逸させた上で廃業するなどして納税義務を免れ、調査や滞納処分を行う段階では法人の財産が既に残っていないために、現行の徴収手続きでは滞納国税の徴収が困難となる事例が把握されています。
このような事例への対応は、これまで課題となっていました。
現行制度では、代表者等が簿外財産や不正還付金など不正行為に関わる財産を隠し、法人の外部に移転させた場合でも、代表者個人に対して徴収を追及できない状況でした。
こうした課題を受け、現行の無償または著しく低額な譲受人等に対する第二次納税義務が適用できない場合にも、悪意等は要件とせず、財産の移転があった事実を捉え、第二次納税義務を課すことが検討されてきました。
2024年度税制改正では、納税環境の整備の一環として、不正申告を行った株式会社の役員等に対する徴収手続きの整備が行われました。
今回の改正では、滞納処分の執行上の課題を踏まえ、法人を支配する役員等が財産を散逸させて納税義務を免れる行為を未然に防止するため、不正行為により国税を免れた株式会社の役員等に対する第二次納税義務が整備されました。
不正行為によって国税を免れた法人の財産が移転され、納税されていない場合には、その法人の財産から滞納国税の全額を徴収できない場合に限り、株式を50%超保有するなどして法人を支配し、不正行為を実行・移転を受けた代表者等に対して、「移転を受けた財産」及び「移転された財産」の価額を限度として、免れた国税について第二次納税義務が課されます。
具体的には、2025年1月1日以降に法定申告期限等が経過する国税から適用される予定です。