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戸籍法改正で相続手続きがぐっと楽に!

戸籍の広域交付制度の概要図
法務省HP〜戸籍法の一部を改正する法律について(令和6年3月1日施行)〜

 7月1日、相続税などの基準となる「路線価」が公表されました。

 

 税務署別の上昇率全国1位は長野県白馬村の32.1%でした。

 

 白馬村は良質なパウダースノーでスキーヤーたちに以前から人気の高い場所ですが、コロナ禍からの回復で外国人観光客が増加し、高級ホテルなどの建設が相次いでいることが要因と考えられます。

 

 ところで、相続手続きでは、「被相続人が生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本」と「相続人全員の戸籍謄本」が必要ですが、生前、本籍地を複数の市区町村に変更している場合、これまでは全ての市区町村で戸籍を取得する必要があり、とても大変でした。

 

 しかし、今年3月1日から始まった広域交付制度により、相続・結婚などの手続きの負担が大幅に軽減されました。

 

 この制度により、戸籍証明書等を最寄りの市区町村の窓口でも取れるようになり、さらに、一か所の市区町村の窓口にまとめて請求できるようになりました。

 

 本籍地以外の市区町村の窓口でも、戸籍証明書・除籍証明書を請求できます。

 これによって、本籍地が遠くにある方でも、お住まいや勤務先の最寄りの市区町村の窓口で請求できます。

 

 必要な戸籍の本籍地が全国各地にあっても、1か所の市区町村の窓口でまとめて請求できます。

 

 なお、今年4月1日から相続登記の申請が義務化されましたが、当該手続にも戸籍の新サービスを利用できます。

 

 また、新婚旅行先の市区町村の窓口に婚姻届を提出する場合など、本籍地ではない市区町村の窓口に戸籍の届出を行う場合でも、提出先の市区町村の職員が本籍地の戸籍を確認することができるようになりますので、戸籍届出時の戸籍証明書等の添付が原則不要となります。

戸籍の広域交付制度で戸籍証明書等を請求できる人の図解
法務省HP〜戸籍法の一部を改正する法律について(令和6年3月1日施行)〜

 

 請求できるのは以下のものに限られます。

 

①本人

②配偶者

③直系尊属(父母・祖父母など)

④直系卑属 (子・孫など)

 

兄弟の戸籍証明書等は請求できません!

 

利用に当たっての注意事項

○戸籍証明書等を請求できる方が市区町村の戸籍担当窓口に出向いて請求する必要があります。

 

○郵送や代理人(例えば、税理士等の士業)による請求はできません。

 

○窓口に出向いた方の本人確認のため顔写真付きの身分証明書(運転免許証、マイナンバーカードなど) の提示が必要です。

 

○コンピュータ化されていない一部の戸籍・除籍を除きます。また、一部事項証明書、個人事項証明書は請求できません。

 

最後に

 今後の予定では、マイナンバー制度や戸籍電子証明書の活用により戸籍証明書等の添付が不要となります。

 

 例えば、児童扶養手当認定手続において、申請書と併せて申請人等のマイナンバーを申請先の行政機関に提示することにより、申請先の行政機関が戸籍関係情報(マイナンバーの提示を受けた者に関する親子関係、婚姻関係等の情報)を確認することができるようになります。

 

 また、パスポートの発給申請において、申請書と併せて戸籍電子証明書提供用識別符号(有効期限3か月のパスワード)を申請先の行政機関に提示することにより、申請先の行政機関が戸籍電子証明書(電子的に戸籍情報を証明したもの)を確認することができるようになりますので、オンラインで手続が完結します。