近年、人口減少・少子高齢化や自然災害の激化・頻発に伴い、所有者不明土地の増加や境界紛争などが社会問題となっています。
このような課題を解決するため、土地の境界を明確にすることが重要です。
土地の境界を明確にするための調査を「地籍調査」といいます。地籍調査は、国土調査法に基づき、市町村が主体となって実施されます。
具体的には、土地の所有者、地番、地目、境界の位置と面積を調査します。
地籍調査が行われると、その成果物として「地籍簿」と「地籍図」が作成されます。
これらの資料は、登記所に送付され、登記簿と地図が修正されます。
修正された登記簿と更新された地図は、土地取引の迅速化や災害復旧などの行政事務の効率化に役立ちます。
地籍図の多くは、そのまま不動産登記法第14条の規定による地図(いわゆる14条地図)として利用されています。
14条地図や公図は、土地を相続する場合の相続税申告に必要な資料でもあります。
地籍調査は、土地の所有者にとって、自身の土地の範囲を明確にすることができ、トラブルを未然に防ぐことができます。
また、行政にとっても、土地に関する正確な情報を把握することができ、様々な施策の推進に役立ちます。
現状と課題
現在、登記所に備え付けられている地図は、明治時代の地租改正時に作られた地図(いわゆる公図)などをもとにしたものが大半です。
しかし、公図は境界や形状などが実際の状況と一致していない場合があり、登記簿に記載された土地の面積も正確ではない場合があります。
地籍調査は、このような問題を解決するための重要な手段です。しかし、まだ地籍調査が行われていない地域も多くあります。早期の実施が求められています。
国土交通省では、所有者等の所在が明らかであっても、所有者等の立会い等の協力が得られない場合、筆界案を送付し、一定期間返答がなければ所有者等の確認があったものとみなす手続の導入を検討しています。
地籍調査のメリット
・土地の境界を明確にし、トラブルを未然に防ぐことができる
・土地の取引を円滑化できる
・相続した土地の位置を正確に把握できる
・災害復旧などを迅速化できる
費用負担
地籍調査の費用は、基本的に市町村が負担しますので、測量や境界確認などに係る費用について住民負担はありません。
まとめ
地籍調査は、土地の所有者にとっても、行政にとっても、様々なメリットをもたらす重要な制度です。
まだ地籍調査が行われていない地域にお住まいの方は、市町村に問い合わせて、地籍調査の実施状況等を確認することをおすすめします。
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