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相続土地国庫帰属制度について

相続土地国庫帰属制度の概要図
出所:法務省HP〜所有者不明土地の発生を予防する方策〜

 相続した土地を、活用もできず売却もできない場合、管理費用や固定資産税の負担が重荷となります。

 

 そのような状況では、相続放棄という選択肢も存在します。

 

 しかし、相続放棄を選択すると、不要な土地だけでなく、預貯金や株式など全ての資産の相続権も失ってしまう点に注意が必要です。

 

 近年、相続した土地を手放したいというニーズが高まっています。

 

 その背景には、「遠方に住んでいて利用する予定がない」、「周りの土地に迷惑がかかるから管理が必要だが、負担が大きい」といった理由があります。

 

 このような土地が管理できないまま放置されると、将来、「所有者不明土地」となる可能性があります。

 

 所有者不明土地は、周辺環境や治安の悪化を招き、近隣住民に不安を与えるなど、各地で社会問題となっています。 

 

 具体的には、「土砂崩れなどの防災対策のための工事が進められず、危険な状態が続いてしまう」、「公共事業や市街地開発などのための用地買い取り交渉ができず、土地の有効活用の妨げになる」といった問題があります。

 

 所有者不明土地の面積は、九州の土地面積よりも広いと言われ、今後もさらに増えていくと予想されています。

 

 このような状況を踏まえ、相続等によって土地の所有権を取得した相続人が、一定の要件を満たした場合に、土地を手放して国庫に帰属させることを可能とする「相続土地国庫帰属制度」が、昨年4月27日に創設され、間もなく一年となります。

 

 さらに、今年4月1日からは、相続登記の申請が義務化されました。相続登記が行われないことや、住所等の変更登記が行われていないことが原因で、所有者不明土地が発生することから、それを防ぐための措置として講じられました。

 

 先日、法務省が発表した相続土地国庫帰属制度の運用状況(速報値)によると、2月29日現在の申請件数は全国で1,761件でした。

 

 申請のあった土地の種類を見ると、宅地が655件(37%)と農地の670件(38%)に次ぐ順位となっています。

 

 高齢の親が家を残して亡くなっても、子供など相続人が持ち家に住んでいたり、親の家の立地条件が悪く、賃貸や売却が困難だったりするなどして持て余すケースが都市部で多いことが背景にあると言われています。

 

 制度の利用を検討されている方は、所在する土地を管轄する法務局で相談できます。

 

 また、土地が遠方にある場合、お近くの法務局にも相談が可能です。

 対面又は電話での相談は予約制ですので、詳しくは、法務省ホームページの相統土地国庫帰属制度のご案内をご覧ください。