先般、経済産業省から発表された中小企業向けの新たな資金繰り支援制度の概要についてご紹介します。
新たな信用保証制度を創設
中小企業の4割が利用している信用保証制度において、依然として信用保証付融資の7割で経営者保証が徴求されています。
この現状を変えるため、保証料を上乗せすることで、経営者保証の提供を不要とする信用保証制度を創設することに加え、制度の活用促進のため、3年間の時限的な保証料負担軽減策が実施されます。
経営者保証とは、中小企業が金融機関から融資を受ける際、経営者個人が会社の連帯保証人となることです。
企業が倒産して融資の返済ができなくなった場合は、経営者個人が企業に代わって返済することを求められます。
中小企業の資金繰りの手段として活用される一方、経営者個人が借金を負うリスクがありました。
経営者保証には、経営への規律付けや資金調達の円滑化に寄与する面があります。
一方で、経営者による思い切った事業展開や早期の事業再生、円滑な事業承継を妨げる要因となっているという指摘もありました。
新制度では、直近の決算で債務超過ではないなど一定の要件を満たした上で、保証料を通常より高く支払えば経営者保証が不要になります。
本制度については、3月15日より申込受付を開始し、それに先立ち2月16日より、要件確認などの事前審査も開始します。
日本政策金融公庫等のコロナ資本性劣後ローンの金利運用見直し
日本政策金融公庫等のコロナ資本性劣後ローンについて、黒字額が小さい事業者の金利負担軽減措置が講じられます。
コロナ資本性劣後ローンの金利は、直近決算の黒字額から負担することになりますが、黒字額が小さい場合、金利負担により実態上赤字に転落する場合があります。
そのため、直近決算で黒字の事業者が翌年度に金利を支払った場合に、直近決算において事実上の赤字に陥る場合には、直近決算期後1年間については0.5%を適用するという運用の見直しが2月16日より行われます。