国税庁は、2022事務年度(今年6月までの1年間)の所得税及び消費税の調査状況を公表しました。
主な取組として、富裕層、海外投資やインターネット取引を行っている個人、無申告者などに対する税務調査が挙げられています。
「富裕層」の申告漏れ所得は過去最高の総額980億円に上りました。
国税庁は、有価証券・不動産等の大口所有者、経常的な所得が特に高額な個人、海外投資等を積極的に行っている個人など、「富裕層」に対して、資産運用の多様化・国際化が進んでいることを念頭に積極的な調査を実施しています。
「海外投資を行っている個人」の申告漏れ所得も過去最高の総額1,036億円(1件当たり3,720万円)でした。
国税庁は、海外投資を行っている個人や海外資産を保有している個人などに対して、国外送金等調書、国外財産調書、租税条約等に基づく情報交換制度のほか、CRS情報(共通報告基準に基づく非居住者金融口座情報)などを活用して重点的な調査を行っています。
各国税務当局との連携が強化され、海外投資に絡む申告漏れの発覚が増加傾向です。
また、「インターネット取引」を行っている個人に対する調査も、暗号資産等取引を含め、調査件数や追徴税額は高水準で推移しています。
国税庁は、インターネット上のプラットフォームを利用したネット広告やオークション、民泊などを運営する「シェアリングエコノミー」や配達代行業など、新しいビジネスモデルや暗号資産等の取引について資料情報の収集・分析に努め、調査を強化しています。
なお、事業所得の1件当たりの申告漏れ所得が高額な業種は、以前は風俗やキャバクラが常連でしたが、2022事務年度は経営コンサルタントが2年連続の1位です。
こちらも経済社会の変化を反映しているのでしょう。