国際的取組みに、「BEPS(Base Erosion and Profit Shifting(税源浸食と利益移転))プロジェクト」があります。
これは、多国籍企業による国際的な課税逃れを防ぎ、公平な競争条件を整えるために、OECDが中心となって進めたもので、2015年10月に主要国間で合意し、日本を含む約140か国以上が参加するプロジェクトです。
最近では、2021年10月にOECD・G20の「BEPS包摂的枠組み」において合意された二つの柱のうち、第2の柱である「グローバル・ミニマム課税」が2023年度の税制改正で導入されました。
第1の柱である「市場国への新たな課税権の配分」については、IT大手などを対象としたデジタル課税といわれ、現在、多国間条約の策定に向けた議論が行われています。
第2の柱であるグローバル・ミニマム課税は、法人税の最低税率を15%にする国際課税の新ルールですが、新たに法制化が検討されているのは、上の図の親会社と子会社が逆のパターンにも対応し、課税できるようにするものです。
改正案では、親会社が法人税率15%未満の軽課税国(タックスヘイブン)にあり、子会社が日本にある企業を対象とします。
親会社の税負担が15%になるまで日本の子会社に課税し、複数の国・地域に子会社がある場合は、その資産や従業員数に応じて課税額を分配する仕組みです。
2024年度の税制改正に向けて議論される予定です。